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大阪地方裁判所 昭和43年(わ)2197号 判決

(一)

主たる事務所の所在地 大阪市都島区東野田町七丁目一六二番地

名称

東都観光株式会社

代表者の氏名

林宗恩

(二)

国籍 中華民国

住居

大阪市都島区東野田町七丁目一六二番地

職業

会社役員

氏名

林宗恩

生年月日

大正一二年(西暦一九二三年)九月一〇日

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官飯田穣出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人東都観光株式会社を罰金六〇〇万円に、被告人林宗恩を懲役六月に処する。

被告人林宗恩に対し本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人東都観光株式会社(以下単に「被告会社」という)は、大阪市都島区東野田町七丁目一六二番地に本店を置き、バー、クラブ、遊技場等を経営するもの、被告人林宗恩は、被告会社の代表取締役として、その業務を統括しているものであるが、被告人林宗恩は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  被告会社の昭和三九年六月一日から同四〇年五月三一日までの事業年度において、その所得金額が五八二七万一四〇二円、これに対する法人税額が二一二五万八三〇〇円であるのに、売上収入金の一部を除外し、これによつて得た資金を仮名で銀行に預け入れて秘匿する等の不正行為により、右所得金額中四〇二七万九三〇六円を秘匿したうえ、同四〇年七月三〇日大阪市旭区旭税務署において、同署長に対し被告会社の右事業年度分の所得金額が一七九九万二〇九六円、これに対する法人税額が六三五万七四〇〇円である旨過少に偽つた法人税確定申告書を提出し、よつて、同年度分の法人税一四九〇万九〇〇円を免れ、

第二  被告会社の同四〇年六月一日から同四一年五月三一日までの事業年度において、その所得金額が四七六五万九九六六円、これに対する法人税額が一七二六万九三〇〇円であるのに、前同様の不正行為により、右所得金額中二七八八万七六三一円を秘匿したうえ、同四一年七月三一日前記旭税務署において、同署長に対し被告会社の右事業年度分の所得金額が一九七七万二三三五円、これに対する法人税額が六九五万三九七〇円である旨過少に偽つた法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税一〇三一万五三三〇円を免れ、

第三  被告会社の同四一年六月一日から同四二年五月三一日までの事業年度において、その所得金額が六一七一万一〇二円これに対する法人税額が二一三一万二九〇〇円であるのに、前同様の不正行為により、右所得金額中二五九八万五一七二円を秘匿したうえ、同四二年六月二七日前記旭税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が三五七二万四九三〇円、これに対する法人税額が一二二一万八五二〇円である旨過少に偽つた法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税九〇九万四三八〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示の事実全部につき

一、被告会社の登記簿謄本

一、被告人林宗恩の当公判廷における供述

一、同被告人の検察官に対する供述調書(二通)

一、収税官吏の同被告人に対する質問てん末書(一四通)

一、収税官吏倉中倉三の被告会社にかかる法人税法違反けん疑事件についての銀行調査事績書綴その一ないしその三

一、押収の定期預金利息計算書(四枚)(昭和四三年押第八〇九号の一)

一、押収の定期預金Bメモ手控帳(一綴)(前同号の二)

一、押収の通知預金元帳(六葉)(前同号の三)

一、押収の定期預金計算書(六葉)(前同号の四)

一、押収の定期預金満期月別管理表(一綴)(前同号の五)

一、押収の普通預金通帳(一三冊)(前同号の六ないし八)

一、押収の普通預金元帳(二六葉)(前同号の九、一〇)

一、押収のラウンド預金申込書(一九葉)(前同号の一一、一二)

一、押収の仮名預金印鑑(一二個)(前同号の一三)

一、押収の印鑑(一個)(前同号の一四)

判示第一の事実につき

一、収税官吏作成の証明書(被告会社の昭和三九年六月一日から同四〇年五月三一日までの事業年度の法人税確定申告書にかかる分)

判示第二の事実につき

一、収税官吏作成の証明書(被告会社の同四〇年六月一日から同四一年五月三一日までの事業年度の法人税確定申告書にかかる分)

判示第三の事実につき

一、収税官吏作成の証明書(被告会社の同四一年六月一日から同四二年五月三一日までの事業年度の法人税確定申告書にかかる分)

(法令の適用)

判示第一ないし第三の各事実につき、被告会社に対する関係において、いずれも法人税法第一六四条第一項、第一五九条第一項

判示第一ないし第三の各事実につき、被告人林宗恩に対する関係において、いずれも同法第一五九条第一項(懲役刑選択)

(併合罪の処理)被告会社に対する関係において、刑法第四五条前段、第四八条第二項

被告人林宗恩に対する関係において、同法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(法定の加重は、判示第三の罪の刑にする。)

(刑の執行猶予)被告人林宗恩に対する関係において、同法第二五条第一項

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 井上清)

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